大判例

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大阪地方裁判所 昭和42年(借チ)22号・昭42年(借チ)12号 決定

〔主 文〕申立人らが別紙記載の増改築をすることを許可する。

相手方、申立人らの間の別紙(一)記載の土地に対する賃貸借契約の借賃を、この裁判確定の月の翌月から、一カ月金三、七〇〇円に増額する。

〔決定理由〕本件について調査した資料によると、

(1) 申立人らの父亡加藤正一は、昭和二三年七月一日、相手方の先代春里嘉造から、別紙(一)記載の土地を、罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基づき、非堅固建物所有の目的で賃借し、その後当事者双方が相続により、それぞれ賃借人、賃貸人たる地位を承継したが、右賃借権は、昭和三三年六月末、同法第五条第一項所定の存続期間満了後、借地法第六条第一項により法定更新され、同年七月一日から更に借地権が設定されたものと看做され、その存続期間は同法第五条第一項の規定により満二〇年であること、

(2) 申立人らは、、右借地上に別紙(二)記載の建物を所有し、これに居住して京文堂なる屋号で古本販売業を経営しているが、店舗の面積が狭いため十分に書物を陳列することができず、営業面の必要から店舗の拡張を計ろうとすれば、二階を増築して居室を二階に移す必要があり、加えて、申立人らのほか、申立人らの祖母トク、申立人哲也の妻の住居の改善のためにも、増改築を必要とすること、

(3) 賃借権の目的土地は、国鉄環状線玉造駅の東約五〇〇米の地点に在り、附近は商業地域で準防火地域の指定を受けており、別紙(二)記載の建物と間口を並べて立つている隣接建物はいずれも二階建店舗であつて、本件借地上に二階建の建物を建築することが周辺に悪影響を与えるとは認めがたいこと、

(4) 申立人の計画している別紙(三)記載の増改築の内容は、二階部分の増築面積が、建築基準法第五五条所定の建築面積の敷地面積に対する割合(敷地面積の一〇分の七)を超えているほか、法令上違反する点が認められないこと、

以上の事実が認められる。

右の事実によれば、本件増改築許可の申立については、その増改築の内容を別紙(四)記載の許可する増改築の内容の限度であれば、土地の通常の利用上相当とすべき増改築に該当するものというべく、これを許可するのが相当である。

なお、相手方は、申立人の賃借土地の北側に隣接する相手方所有土地の利用上、本件増改築許可の申立が許可さるべきでない旨述べるけれども、相手方の隣接土地の利用が未だ具体化していない現在において、前記増改築を不相当と認め得べき資料が存在しないばかりか、本件増改築の許可申立を必要とするに至つた増改築を制限する特約が、賃貸借契約締結の当初その特約を必要とする合理的な理由の存在によつて設けられたものとは認めがたいこと、その他本件に顕われた諸般の事情を考慮しても、本件増改築を不相当とすべき事由は認められない。

<中略>

申立人の有する借地権が、罹災都市借地借家臨時処理法第二条による罹災借家人の敷地優先賃借権にに基づくものであること、その賃貸借契約時敷金等特別の金銭の授受がなされていないこと、借賃は昭和四一年九月一日から一カ月金一、六〇〇円に改められていること、増改築の場合の承諾料について、附近に格別の慣行も認められないこと等の事情を考慮したうえ、今回の増改築により店舗部分も若干整備され幾分売上も上昇することが期待されることを併せ考え、鑑定委員会の意見を聴いたうえ、その意見を採用するのを相当と認め、まず、本件増改築に伴う存続期間の延長はこれをおこなわず、この裁判確定の月の翌月から借賃を一カ月金三、七〇〇円に増額することとし、財産上の給付もこれを命じないこととする。(志水義文)

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